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試食アンケート結果

今回の「生産者REPORT」は、ちょっと変則的。ひとりの生産者の方ではなく、四万十川中流域の町村が出資して作った「四万十ドラマ」という株式会社に出荷している生産者の方々を、2回に分けてご紹介したいと思います。まずは「四万十ドラマ」を切り盛りしている畦地履正さんにお話をお聞きしました。

「四万十ドラマは、大正町、十和村、西土佐村という3 つの町村が出資して作った株式会社です。無農薬野菜、天日椎茸、茶、アロエエキス、ようかん、味噌、鮎、うなぎなど、地元の産物の販売はもちろんですが、四万十川を中心に豊かさを考えるネットワーク会員制度『RIVER』の運営や、四万十川流域に住む人が先生になり、自然体験を通じて技術や知恵を教える『自然の学校』を開いたりしています」なるほど、販売だけではないんですね。「ええ、私たちは、四万十での生き方、考え方を伝え、田舎と都会をつないでいきたいと考えているんです。だから、売っているものも何でもいい、というわけじゃなくて、ポリシーのあるものばかりなんですよ」


最初にお話をうかがった生産者は、大正町の林幸一さん。お爺さんの代から続く林業家で、原木栽培で生椎茸や舞茸を育てています。「菌床栽培のものや外国産のものが出まわっているけれど、私たちは、自然のままの昔ながらのやり方にこだわっています。やっぱり、それが一番うまいき」原木栽培って、具体的にはどんなふうにするんですか?「舞茸なら、秋の終わりから早春にかけて伐採したコナラの原木を、2昼夜水に浸けて、袋に詰める。それを暗闇のなかで90〜120日間培養して、夏になったら、袋から出して土に埋める。そうすると、10月上旬に発生がはじまります」

じゃあ、食べられるのは限られた時期だけ?「自然って、そういうもんでしょう。しかも毎年いつできるかわからないので、必ず何日にお届けします、とも言えないんですよ」まるで天然物みたいですね。「味も天然物と変わらないと思いますよ。椎茸は、ある程度期間も長いし、干し椎茸にもできるのですが、舞茸は10月上旬から下旬までの短い間だけ。だから、舞茸に関しては、今回モニターで食べていただいて、みなさんが『また食べたい』といってくれても、来年まで待ってもらわなくてはなりません」でも、待つだけのことはあるんですね?「もちろんです。生椎茸も、舞茸におとらずおいしいので、そちらもぜひ食べてみてください!」






由類江孝師さんは、十和村の卵の生産者。ケージではなく、平飼いで鶏を飼っています。「うちの鶏はストレスがないんですよ。土の上でなるべく自然に近い環境で飼っているし、エサにもこだわっているし」確かに、鶏たちはのびのびとしているみたい。それに鶏舎のニオイもないですね。「卵は鶏で、そして鶏は、水とエサと環境で、決まります。鶏の体調が悪くなると、必ずニオイも出てくるので、鶏たちが気持ち良く過ごせるように、平飼いにしました。エサは、ポストハーベストフリーのとうもろこしに、添加物や抗生物質、保存剤が含まれていない飼料、それに山の緑草や野菜など自分の目で確かめたものを自家配合しています。あ、それからコレ」えっ、何ですか?茶色くて、ペラペラしてて…。「かつおぶしです。ダシをとったあとのかつおぶしを引き取って、飼料に混ぜています。鶏たちもおいしいらしく、よく食べますよ」さすが、土佐の鶏!「水は、鶏舎までラインを引いてきて、自然のミネラルを含んだ山水を与えています」

鶏たちのフンは、肥料になっていると聞いていますが。「鶏フンは、床に入れた稲ワラやオガクズなどの有機物、土の微生物と混ざり合って、ゆっくりと嫌気発酵して熟成した堆肥になります。うちの堆肥を、無農薬無化学肥料の野菜農家さんが利用してくれ、その人たちが育てた野菜の屑などが、また鶏のエサになるんですよ。つまり、循環の連鎖ですね。自然を汚していかないのも、いいでしょう」

由類江さんの卵は、あっさりとしていて優しい味。卵っていうと、つい黄身にばかり目がいってしまうけれど、由類江さんのは、白身に甘みがあるって感じ。黄身の色が、あんまり濃くないのも、自然な感じがしました。


森澤宏夫さんは、大正町で塩をつくっている方。かつては海の近くで塩づくりを行なっていましたが、11年前に一家で大正町に移ってきました。「僕が山で塩をつくるのは、特別な理由からではありません。好きな場所でのんびりと好きなことがしたかったんです。ただ、山でつくると、日照量、湿度、風の力がまったく違い、海の3倍時間がかかります。僕は、このゆっくりとした塩づくりが好きなんです」味に違いはあるのですか?「時間をかけると、できあがった塩には、普段溶けやすいカルシウムなどのミネラルも取り込まれます。カルシウムやマグネシウムがうまいというわけではないのですが、それらが少し混じっていることで、塩の味に深みがでていると思います」

では、実際にどうやって塩をつくるのか、教えてください。「まず、海から海水を運びます。1回につき2トントラックいっぱい分。これで約50kgの塩ができます。運んだ海水は、貯水タンクへ。それから『採灌ハウス』で水分をとばします」えーっと、ここに並んでいるのは竹ボウキですよね?「ええ。竹ボウキに海水をかけて、表面積を広くすることで、釜で炊かずに水分をとばしているんです。ここで海水の5倍くらいの濃度にしたら『天日ハウス』に移します」うわあ、暑いですねえ。「温室みたいなものですからねえ。ここで、水分を蒸発させるんです。半年くらい、毎日ようすを見て、かきまぜて…、あとは脱水機にかけるだけ。ね、塩づくりって、別に特別なことじゃないでしょ?」いえ、特別だと思いますが…。「僕は、この塩を通して、家庭でも簡単に塩がつくれるってことを伝えたい。きれいな海水を、トレイに入れてラップでフタをし、太陽にあてれば誰でも塩がつくれます。汚い海の水じゃ誰もやってみようとは思わないでしょうから、塩づくりをすることで海を守るという気持ちを育てたい。そして、海と川や山が密接につながっていることをわかってもらえればなあ、と思います」




さて、今回のモニターは、林幸一さんの生椎茸と舞茸、由類江孝師さんの卵、森澤宏夫さんの山塩を含む「四万十のオリジナル試食セット」です。そのほか、いつものお米に混ぜて香りを楽しむ「かおり米」や、無農薬で育てた栗を使ってつくった「栗ようかん」も入っています。こちらは次回の「生産者REPORT」で詳しくご紹介したいと思っています。お楽しみに!



平飼いで育てた健康な鶏の卵、太陽の熱だけでつくられた山塩、10〜15日間も天日干しした干し椎茸など、四万十川中流域のこだわり生産者の方々が、手間ひまかけてつくったおいしさが揃っています。

● 由類江孝師さんの平飼い卵

● 森澤宏夫さんの山塩小僧 ● 林幸一さんの原木栽培
  天日干し椎茸
上記の商品は、「株式会社四万十ドラマ」のホームページでご購入いただけます。
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